キッチンとダイニングを横並びにするレイアウトは、配膳や片付けの効率が良く、見た目もスマートな印象を与えるため、近年人気の間取りスタイルのひとつです。しかしその一方で、実際に取り入れたあとに「思っていたより落ち着かない」「もっと考えておけばよかった」と後悔する声も少なくありません。
特に、キッチン横にダイニングがあると落ち着かないと感じるケースや、来客時にキッチンの生活感がそのまま見えてしまうことに悩むケースはよく見られます。間取り図上ではスムーズに思えた動線も、実際に生活してみると予想外のストレスを感じることもあるのです。
この記事では、キッチンとダイニングの横並びにまつわるさまざまなデメリットや注意点、ペニンシュラキッチンとの相性、オープンキッチンがよくない理由など、よくある落とし穴を具体的に掘り下げていきます。
横並びレイアウトに必要な長さはどれくらいか、狭い空間ではどう対処すべきか、さらには「横並びにすればよかった」と感じる人との違いも比較しながら、後悔しないためのポイントを整理してご紹介していきます。
- 横並びレイアウトの主なデメリットと後悔ポイントがわかる
- 間取り図だけでは気づけない注意点を理解できる
- 家具配置や動線の重要性を具体的に把握できる
- 快適に使うために必要な広さや工夫が見えてくる
キッチンとダイニングの横並び、後悔の理由とは?

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- キッチン横にダイニングは落ち着かない?
- 横並びにすればよかったと後悔する人も
- 横並びは来客時に生活感が丸見え
- 間取り図では気づけない点
- 横並びにするデメリットとは
- ペニンシュラキッチンとの相性
キッチン横にダイニングは落ち着かない?

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キッチンのすぐ横にダイニングを配置すると、落ち着いた時間を過ごしにくいと感じる人が多くいます。ダイニングは本来、食事を楽しんだり、家族でくつろいだりする場所ですが、隣接するキッチンからの刺激が空間の快適さを損なうことがあるのです。
調理中には、食材を炒める音や揚げ物の油がはねる音、調理器具がぶつかる金属音など、さまざまな音が発生します。また、料理によっては強い匂いが発生し、これがダイニングスペース全体に広がることで、食事中の気分に影響を及ぼすこともあります。特に来客時などには、そのような匂いや音が不快に感じられることもあるでしょう。
さらに、キッチンとダイニングの距離が近すぎると、料理をする人と食事をする人が物理的に干渉しやすくなります。たとえば、調理中の人が背後を通ったり、ダイニングチェアの後ろを行き来するような場面では、心理的にも落ち着かない空気が流れがちです。
これらの要素が重なると、せっかくの団らんの場がリラックスできない空間となってしまいます。そのため、キッチンとダイニングの位置関係を決める際は、見た目のデザイン性だけでなく、実際の生活シーンを想定したレイアウトが求められます。
横並びにすればよかったと後悔する人も

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一方で、「横並びにしておけばよかった」と後悔する人も少なくありません。このレイアウトは、調理後の配膳や食後の片付けを効率よくこなす上で非常に便利だと感じるケースが多いのです。
料理をテーブルに運ぶ際、キッチンとテーブルが横一列に並んでいることで、前後や回り込みといった無駄な動きを省略でき、料理を運ぶ動線が大幅に短縮されます。
たとえば、子どもの登校準備や家族全員の出発が重なる忙しい朝などでは、この効率の良さが特に際立ちます。配膳のたびに行き来する必要がなくなるため、わずかな時間でもストレスの軽減につながるのです。
また来客時にも、食事の準備をしながら自然な流れでテーブルセッティングができるため、ホスト側の動きがスムーズになります。
ただし、快適に使うためには一定の条件が必要です。十分な横幅が確保されていなかったり、テーブルのサイズがキッチンと干渉していたりすると、動線が制限されてかえって不便になる場合もあります。
設計段階でスペース配分と家具の大きさをしっかり見極めることが求められます。
横並びは来客時に生活感が丸見え

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このようなレイアウトでは、来客時にキッチンの様子がそのまま目に入ってしまうというデメリットが避けられません。特に、ダイニングとキッチンが一体化している横並びのスタイルでは、空間に仕切りがなく開放感がある分、キッチンの状態が視界に入りやすくなります。
調理中や片付け前のタイミングでは、シンクに洗い物が残っていたり、調理器具が出しっぱなしになっていたりすることがあります。こうした状態が来客の目に触れると、生活感が露わになり、家全体の印象にも影響を与えかねません。特に急な来客の際は、整える時間もないまま迎えることになり、気まずさを感じることもあります。
また、リビングと一体化した間取りの場合は、来客がダイニングを通ってソファまで移動する構造も多く、その途中でキッチンが目に入る可能性が高まります。来客の視線を意識しすぎるあまり、日常の家事にまで影響が出ることもあるでしょう。
来客用に常にキッチンを整えておくのは現実的ではないため、視線を遮る仕切りや、簡単に片付けられる収納アイテムなどを活用する工夫が求められます。また、カウンターに背の高い食器棚やパーティションを設置することで、目線の高さでの視界を遮ることも可能です。こうした細かな配慮が、空間をより快適に保つ鍵となります。
間取り図では気づけない点とは

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横並びレイアウトは、設計図面の上では非常に効率的でスマートに見えることが多く、多くの人がその利便性に期待を寄せます。しかし、実際に日常生活の中で使ってみると、予想外の使いにくさや不便を感じる場面が少なくありません。
特に見落とされがちなのが、冷蔵庫やゴミ箱の配置、キッチンとダイニング間の通路幅、さらにはコンセントの位置など、細かな実用性に直結する部分です。これらの要素は、図面上では小さな違いに見えても、使い勝手には大きな影響を与えます。たとえば、冷蔵庫の扉がダイニングチェアに当たる、ゴミ箱を置くスペースがなくなる、などのトラブルが発生することもあります。
また、実際の生活では、複数人が同時にキッチンとダイニングを行き来する場面も多いため、動線が交錯してしまい、思わぬストレスの原因となることもあります。こうした点は、単なる設計図や間取り図からはなかなか読み取れないため、注意が必要です。
そのため、実際の空間感覚や生活動線を把握するために、モデルルームを見学したり、シミュレーションソフトを使って家具の配置を確認したりすることが非常に有効です。可能であれば、自分のライフスタイルに近いシーンを想定して動線を試してみることをおすすめします。
横並びにするデメリット

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キッチンとダイニングを横並びにすることで、視覚的にはすっきりと整い、動線も一直線で効率的に見えます。しかしその一方で、実際の生活においては多くの課題が発生する可能性があります。
例えば、調理中に発生する音がダイニングまで響いてしまい、食事中の会話を妨げることがあります。特に炒め物や揚げ物を調理している際の金属音や油の弾ける音などは、静かな空間を求める人にとっては大きなストレス要因です。また、料理中に出る匂いがダイニング全体に広がってしまい、空気のこもりや臭い残りに悩まされることもあります。
さらに、来客時にはキッチンの内部が丸見えになりやすく、調理途中の散らかりや洗い物の様子が目に入りやすいという懸念もあります。これにより、空間全体に生活感が出すぎてしまい、せっかく整えたインテリアの印象が損なわれることもあります。
横並びレイアウトではキッチン家電の配置や収納スペースの確保が難しくなるという問題もあります。例えば、電子レンジや炊飯器、ゴミ箱などをどこに置くかという具体的な計画が不十分だと、動線が妨げられたり、収納不足が発生したりします。
このように、デザイン面の良さにばかり目を向けてしまうと、実用性に欠けたレイアウトになりがちです。快適に暮らすためには、見た目の美しさと日々の使いやすさをバランスよく両立させた設計が不可欠です。
ペニンシュラキッチンとの相性

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ペニンシュラキッチンと横並びレイアウトは一見するととても相性が良く、デザイン性にも優れているように思えます。ペニンシュラ型はカウンターが特徴的で、開放感を演出しつつ、キッチンとダイニングを自然につなぐ役割も果たします。そのため、一体感を大切にした空間づくりを目指す家庭では魅力的に映るレイアウトです。
しかし、実際に生活してみると、いくつかの不便な点が浮き彫りになります。例えば、ペニンシュラ型のカウンター部分が動線を妨げる形となり、料理を作ってからテーブルへ配膳する際に、回り道を強いられることがあります。特に小さなお子さんがいる家庭や、家族が多く頻繁にキッチンとダイニングを行き来するような場合は、そのわずかな動線のズレが日々のストレスとなって蓄積される可能性もあります。
また、キッチンの形状や奥行きがレイアウトに大きく影響するため、希望するダイニングテーブルを配置できなかったり、椅子の出し入れに不便を感じたりすることもあります。見た目の美しさを優先してスペースを狭めてしまうと、結果的に使い勝手の悪い空間になってしまうのです。
このような事態を避けるためにも、事前にキッチンとダイニング両方の寸法を正確に把握し、それに基づいた生活導線のシミュレーションを行うことが重要です。実際の動きやすさや利便性をしっかり確認した上で、デザインと機能のバランスが取れたレイアウトを検討することが後悔しないための鍵となります。
キッチンとダイニングが横並びのレイアウトで後悔?

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- 狭い空間では不向き?
- 20畳あっても本当に使いにくい?
- テレビが見えないストレスも
- オープンキッチンがよくない理由とは
- 横並びレイアウトはどれくらいの長さが必要?
狭い空間では不向き?

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限られたスペースにおいてキッチンとダイニングを横並びに配置するレイアウトは、慎重に検討しなければおすすめできません。というのも、両者の間に十分な動線を確保できない場合、日々の動作が著しく不便になるからです。
キッチンで作業をしている最中にダイニングチェアに座っている家族が立ち上がると、その背後をすれ違うのが難しくなることがあります。椅子を引くたびに通路をふさぎ、後ろを通る人がぶつかってしまうような場面が頻発すると、食事や家事のたびにストレスを感じるようになるでしょう。
このような事態は、キッチンとダイニングの間に十分な通路幅が確保されていない場合によく見られます。特に横並びレイアウトでは、配置する家具や収納のサイズによって余裕が生まれにくく、物理的な窮屈さが精神的な圧迫感にもつながりかねません。
さらに、限られたスペースではゴミ箱や家電の配置も難しくなり、動線を遮る要素が増えることで、使い勝手がさらに低下する恐れがあります。結果的に、見た目の整った空間であっても、実際には不便さの方が目立つことになるのです。
このような問題を回避するためには、設計段階でスペース全体のバランスを丁寧に見極める必要があります。動線の幅、家具の配置、生活動作の流れなど、日常の使い方をシミュレーションすることで、狭小空間でもストレスの少ないレイアウトを実現することが可能です。
20畳あっても本当に使いにくい?

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広さがあっても使いにくいと感じるケースは実際に多くあります。20畳あれば十分と思われがちですが、その空間をどう使うかによって、快適さが大きく変わってしまいます。広い空間であっても、配置のバランスや家具の大きさが適切でなければ、逆に狭さを感じることもあるのです。
例えば、大型のダイニングテーブルを中央に配置し、さらにアイランド型のキッチンを導入した場合、動線が大幅に制限されてしまうことがあります。テーブルの周囲に椅子を配置すると、通路の幅が圧迫され、食事の際に立ち上がったり移動したりするたびに人とぶつかるような状況が生まれることもあるでしょう。
さらに、アイランドキッチンは見た目にはスタイリッシュですが、両側に通路を確保する必要があるため、思った以上にスペースを取ります。ダイニングテーブルや収納家具の設置場所が限られてしまい、使い勝手が悪くなるという矛盾が生じてしまいます。
このような問題を避けるためには、単に広さに頼るのではなく、空間の使い方をしっかりと考える必要があります。家具のサイズや配置のシミュレーションを事前に行い、実際の生活動線に無理がないかを確認しておくことが重要です。
テレビが見えないストレスも

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テレビの位置によっては、食事中にテレビが見えなくなることがあり、これは意外とストレスの原因になります。特にキッチンとダイニングを横並びにレイアウトした場合、テレビの配置場所に悩むケースが多く見られます。テレビがダイニングの側面や背面に位置してしまうと、食事中に視線を向けづらく、首をひねるような姿勢が必要になったり、そもそも画面が見えなかったりと、テレビを楽しむことが難しくなってしまいます。
このような状況では、テレビを見ながら食事を楽しむという日常の習慣が途切れてしまい、結果的に家族の会話が減ったり、リラックスタイムが損なわれる可能性もあります。また、特定の席からだけテレビが見える配置だと、席の取り合いになることもあり、家族内で不公平感が生まれることも考えられます。
テレビの音声がキッチンでの調理音と重なって聞き取りづらくなる点も忘れてはなりません。これにより、テレビの音量を必要以上に上げることになり、逆にうるさく感じてしまうこともあります。
こうした問題を避けるためには、テレビの設置場所に一工夫加えることが重要です。たとえば、壁掛けテレビを活用して視線がダイニングから正面になるように調整したり、回転式のテレビスタンドを使って見る方向を自由に変えられるようにするなどの方法があります。また、レイアウト段階でテレビ視聴の動線を考慮したプランニングを行うことで、より快適な空間が実現できるでしょう。
オープンキッチンがよくない理由とは

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オープンキッチンは開放感があり、空間を広く見せられるという魅力があります。料理中も家族や来客と会話を楽しめるという利点もあるため、近年人気の高いレイアウトのひとつです。しかしその一方で、デメリットも見過ごせません。特に料理中の匂いや音、そして作業スペースの乱れた見た目がそのままダイニングに伝わる点は、大きな課題となります。
横並びレイアウトでは、キッチンとダイニングが壁や仕切りなしに一続きになっていることが多いため、調理中に発生するあらゆる要素が直接ダイニングに届きます。たとえば油を使った料理であれば、前述の通り匂いや煙が広がり、ダイニング全体に残ってしまうことがあります。また、食材を切る音や鍋がコンロにぶつかる音が食事中の会話を妨げることもあります。
さらに、キッチンが常に目に入る環境では、少しでも調理器具が出しっぱなしだったり、洗い物が溜まっていたりすると、その生活感がダイニングの雰囲気にも影響を及ぼしてしまいます。来客時にキッチンの状態を気にしなければならないというプレッシャーが、日常的なストレスとなることもあるでしょう。
そのため、オープンキッチンを採用する際には、空間を完全に開放しきるのではなく、部分的に視線を遮る設計が求められます。たとえば、腰高のカウンターや背の低い棚を設置することで、視線を柔らかく遮りながらも開放感を保つことができます。また、収納力のあるキッチン設備を導入し、常に整理整頓を心がけることも快適な空間づくりには欠かせません。
横並びレイアウトはどれくらいの長さが必要?

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このレイアウトを快適に使うには、ある程度の横幅を確保することが非常に重要です。見た目にはスタイリッシュで一体感のある空間に見える横並びの配置ですが、実際に使ってみると、人が無理なく移動できる幅や家具の出し入れに十分なスペースがなければ、日常生活に支障をきたすことがあります。
一般的に、キッチンとダイニングテーブルを横並びに配置する際には、キッチン本体の横幅が約255cm、4人掛けのダイニングテーブルが約120cm、さらに人が通れる通路幅を最低でも60cm確保すると、合計で約435cm(4.35m)以上のスペースが必要とされています。これだけの長さがないと、椅子を引いた際にすぐ背後がキッチンになってしまったり、家族がすれ違うときに体がぶつかるといった不便が発生しやすくなります。
さらに、テーブルの両端に座る人の動線や、調理中に通り抜けるスペースも事前に想定する必要があります。例えば、椅子を引くためには約60cm、さらに人がスムーズに通れるためには約80cm〜100cmのスペースが推奨されています。これらが不足していると、座っている人をよけながら配膳したり、キッチンでの作業が妨げられるといったストレスを感じるレイアウトになる可能性が高くなります。
このような問題を避けるためには、設計段階で家具の寸法だけでなく、日常の動作や人の流れを具体的にシミュレーションすることが大切です。家具と人の動線が重ならないようにレイアウトを工夫し、必要なスペースを合計した上で計画を立てることで、より快適でストレスの少ない空間を実現することが可能になります。
国土交通省では、住宅の設計基準や居住面積に関するガイドラインを提供しています。
(参考:国土交通省「住生活基本計画」)
我が家のダイニング、キッチン
横並びにはこだわりなかったけど、たまたま間取り上こんな形に。キッチンとダイニングの間は動線的に開けたかったのでそこはこだわったかな😊 pic.twitter.com/ThzZfxKjYu
— カモシカハウス (@kamoshika_house) March 21, 2025
キッチンとダイニングの横並びで後悔するポイント15選
最後に落とし穴15選をまとめます。
- 調理音がダイニングに響いて会話しづらい
- 料理中の匂いがそのまま食卓に届く
- キッチンが近くて食事中に落ち着かない
- 来客にキッチンの生活感が丸見えになる
- 冷蔵庫やゴミ箱の配置に悩まされる
- 通路が狭くて椅子の出し入れがしづらい
- 家族がすれ違うたびにぶつかってしまう
- テレビが見づらくなる座席が出てくる
- 調理音とテレビ音が重なって聞き取りにくい
- アイランドキッチンを置くと動線が詰まる
- ペニンシュラキッチンが配膳を邪魔する
- 常にキッチンを整理整頓しておく必要がある
- 20畳以上あっても配置次第で使いづらくなる
- 間取り図では不便さが事前にわからない
- 見た目重視で設計すると実用性が損なわれる
- キッチンカウンターで食事するだけで、家族の会話が増えるワケ。
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