食器棚の裏にコンセントが隠れる問題、原因とスマートな解決法とは

毎日の料理を支えるキッチンにおいて、食器棚やカップボードの配置は見た目だけでなく機能性にも直結します。しかし実際には、キッチンボードの背面にあるコンセントの位置を見落とし、設置後に家電が使えなくなったという声も少なくありません。特に、ニトリなどで人気の収納力重視のモデルを購入した際に、背板が壁に密着することでコンセントが隠れてしまうケースが多く発生しています。

このようなトラブルは、コンセントが裏にあることで延長コードを使わざるを得なかったり、最悪の場合は通気が悪くなり火災の原因となるなど、安全面にも影響を及ぼします。電子レンジなど高出力の家電を使用する場合には、電源の確保やコンセントの交換を自分で行おうとする方もいますが、法令の規定や施工ミスによるリスクも考慮する必要があります。

この記事では、食器棚の設置で後悔しないために、キッチンボードの背面に穴あけして配線スペースを確保する方法や、延長コードの安全な使い方、ニトリ製品の選び方まで、実用的な視点で解説していきます。快適で安全なキッチンづくりのために、事前に知っておくべきポイントを整理してみましょう。

食器棚でコンセントが隠れる問題とは？

キッチンボードの背面に注意

キッチンボードの設置前には、背面にあるコンセントの位置や高さ、さらには差し込み口の向きや形状まで詳細に確認しておくことが非常に重要です。というのも、背面に設置されたコンセントが食器棚の背板に完全に隠れてしまうと、家電の使用に必要な電源が確保できず、結果として家電そのものが使えないという事態に直面することになるからです。

例えば、毎日使う炊飯器や電子レンジ、電気ケトル、コーヒーメーカーといったキッチン家電は、一定の位置に設置して常時電源が供給されている必要があります。しかしコンセントが家具の背面に隠れてしまうと、電源を取るために延長コードを引き回さなければならず、配線が目立ってインテリア性を損ねてしまうほか、動線の邪魔になる可能性も出てきます。

無理な配線やコードの曲げによってケーブルが劣化し、発熱や接触不良が発生するといったトラブルが起こるおそれもあります。最悪の場合には、発火や火災といった重大な事故につながる可能性も否定できません。このような事態を未然に防ぐためには、家具を購入する前の段階で、キッチンの設置予定スペースの寸法だけでなく、壁にあるコンセントの位置、数、使いやすさなどをトータルで確認しておく必要があります。

キッチンボードや食器棚を選ぶ際には、デザインや収納力だけでなく、コンセントの干渉リスクを見越したうえで、配置や使い勝手を検討することが、後悔しないための鍵になるといえるでしょう。

食器棚の裏にあると火災のおそれも？

コンセントが食器棚の裏に隠れてしまうと、発火のリスクが高まる可能性があります。これは通気性が悪くなることで、プラグやコード部分に熱がこもりやすくなるためです。特に、密閉された構造の家具においては空気の循環が妨げられ、温度が異常に上昇しやすくなります。

実際に、大阪市や広島市などでは、家具や壁に密着した状態のコンセントでトラッキング現象が発生し、発煙や発火に至る火災事例が報告されています。例えば大阪市では、コンセントに長期間タップを差し込んだままにしていたことで電気スパークが発生し、周囲の可燃物に引火して一室が焼損する火災が起きています。また、広島市では屋外のコンセントにたまったホコリが湿気を含み、トラッキング現象により出火した事例があります。
（参考：大阪市「掃除と整理整頓！　トラッキング防止！」）

こうした事故を防ぐためには、食器棚の背面に少なくとも数センチの空間を空けることが推奨されます。背面に余裕を持たせることで、通気性を確保し、熱のこもりを軽減することができます。さらに、背板に通気孔を設ける、または通風性の高い素材を使用することで、火災リスクをより抑えることが可能です。通気孔は電動ドリルで数センチの穴を数か所開けるだけでも効果があり、湿気や熱のこもりを逃す工夫として有効です。

それでもコンセントの位置と家具の構造上、どうしても背面が塞がれてしまう場合は、安全基準を満たした延長コードや電源タップの活用も一つの方法です。延長コードを選ぶ際は、PSEマーク付きの製品を選ぶようにしましょう。また、過電流防止機能や発熱抑制設計のある製品、難燃性の素材が使われているものなどを選ぶことで、より安全に使用できます。

コンセントが使えなくなった実例

食器棚を壁にぴったり付けて設置した結果コンセントが完全に隠れてしまい、家電がまったく使えなくなってしまったという事例は、決して珍しいものではありません。こうしたトラブルは、新築の際にキッチンを設計した段階で見落とされることが多く、特に家具の搬入後に気づいて後悔するケースが非常に多く見受けられます。

引っ越し直後などで慌ただしく家具を配置した際に、十分な確認を行わずに設置してしまうことも、この問題の原因となっています。せっかく高価なキッチン家電をそろえても、コンセントが使えない状態では意味がありません。壁付けされたコンセントが棚の背板で完全に塞がれた結果、延長コードを引き回すしかなくなり、使い勝手が大きく損なわれる事態になることもあります。

こうした事例を防ぐためには、あらかじめ壁の配線図やコンセントの位置を正確に把握しておくことが重要です。可能であれば設置予定の家具とコンセントの位置関係を事前にシミュレーションし、必要に応じて家具の脚や背面の形状、奥行きを再検討するのも良い方法です。

下準備をしておけば、設置後の不便さや危険を避けることができ、快適なキッチン空間を維持することができるでしょう。

ニトリ製品でも起こる問題点

ニトリの食器棚でも、奥行きのあるタイプや大型モデルでは、同様の問題が起こることがあります。たとえば「リガーレ」シリーズや「ポスティア」シリーズなどは収納力を重視した構造で、背面パネルがしっかりとした作りになっています。これらのシリーズはモデルによっては背面が完全に塞がれているわけではなく、通気性や配線の取り回しを考慮した仕様になっている場合もあります。必ず各製品の仕様を確認し、実物を見ながら設置環境と照らし合わせて検討することが大切です。

製品のデザインや背面の構造によっては通気性が悪くなり、家電の使用時にコードの取り回しが難しくなるケースが報告されています。特に背面がフルパネル構造になっている製品では、コンセントの干渉を避けるのが難しく、延長コードの使用を余儀なくされることもあります。

また、ニトリ製品の中にはデザイン性を重視したモデルも多く、インテリアに美しく調和するよう背面のスペースを最小限に設計しているものもあります。そのため、購入前には公式サイトのスペック情報や図面、奥行き寸法をよく確認し、自宅のコンセントの位置との相性を見極めることがとても大切です。

コンセントが干渉するかどうかは、実物を確認するのがもっとも確実です。実際の展示品を確認するか、スタッフに相談して実例を見せてもらうと安心です。また、ヤフー知恵袋などの掲示板やSNSでも、購入者が「設置してからコンセントが使えないことに気づいた」という投稿が多数見られます。

こうしたユーザーの声を確認することで、見た目だけでなく実用性の面でも満足のいく家具選びが可能になります。

カップボード選びで後悔しないために

カップボードは見た目のデザインや収納力の多さももちろん重要なポイントですが、実用面を考えると、コンセントの位置との相性をしっかりと確認することも非常に大切です。見た目だけで選んでしまうと、いざ設置した際に「コンセントが隠れて家電が使えない」といったトラブルに見舞われることがあります。これは、特に壁面にぴったり収まるタイプのカップボードを選んだ場合に多く発生しがちです。

後悔しないためには、まずは設置予定の場所の寸法を正確に測定し壁のどこに電源があるか、どのくらいの高さに位置しているかなども合わせて確認しましょう。そのうえで、奥行きや背面構造、コード通し穴の有無といった細かな点に注目して、複数の製品を比較検討することが効果的です。

実際に使用する状況をイメージしながら選ぶことが、長く快適に使い続けるための大きなポイントになります。例えば、炊飯器を引き出して使いたい場合はスライド棚の有無やコンセントの位置が重要になりますし、電子レンジやトースターを同時に使うのであれば、複数の電源が取りやすい構造であることも重要です。このように、機能性と設置環境の両方に配慮してカップボードを選ぶことが、快適なキッチンライフを送るための秘訣です。

食器棚の下に物体。

（食器棚にコンセント付いてます。壁のコンセントが隠れる場合を考えて元々付いてたのです） pic.twitter.com/sjCbioKcf3

— 𓃠uraran𓅓 (@_uraran_) June 3, 2022

食器棚でコンセントが隠れる問題の対策法

背面の穴あけで配線スペースを確保

どうしても背面にコンセントがきてしまう場合には、食器棚の背板に穴を開けて配線スペースを確保するという方法が有効です。この対処によって、電源コードを家具の背面に無理なく通すことが可能になり、コンセントへのアクセス性を維持しつつ、家電を問題なく使用できるようになります。特に炊飯器や電子レンジなどのキッチン家電を日常的に使用する場合には、このような配線処理が大きな役割を果たします。

ただし、棚に穴を開けるという作業にはいくつかの注意点があります。棚の素材や厚みによっては、穴を開けることで構造的な強度が損なわれる恐れがあります。とくに重い家電や食器を収納する場合には、わずかな加工でも全体の耐久性に影響が出ることがあります。また、開けた穴が目立ってしまうことで、見た目に違和感が出てしまうというデメリットも考慮しなければなりません。

このような点をふまえ、穴を開ける際は事前に棚の構造や設置場所をよく確認し、必要に応じて専門業者に相談することも一つの選択肢です。さらに、穴の位置や大きさについても、通す予定のコードの太さや本数を考慮して、実用性と見た目のバランスを取ることが求められます。こうした配慮をもって作業を行えば、安全で実用的な配線スペースを確保することができ、快適なキッチン環境の実現につながります。

延長コードの安全な使い方

延長コードを使用することで、食器棚の背面にコンセントが隠れてしまった場合でも、電源の確保はある程度可能となります。とくに、コンセントの位置を変更することが難しい賃貸住宅などでは、延長コードは現実的な解決策として広く用いられています。また、延長コードを使うことで、壁面のコンセントが遠くても電源を手元まで引き出すことができ、使い勝手の良いキッチン環境を維持する手助けになります。

しかし、延長コードには使用上の注意点も多く存在します。使用するコードの長さや定格容量が適切でないと、過電流や発熱の原因となり、最悪の場合には火災などの重大な事故につながるおそれがあります。特に、電子レンジや炊飯器のような高出力の家電を使用する際には、コードが耐えられる電力量をしっかり確認する必要があります。

またコードを束ねて使ったり、家具の下敷きにして押しつぶしたりすると、被膜が破れたり内部配線が損傷する危険もあるため、設置方法にも十分配慮する必要があります。延長コードは壁に固定したり、余分なコードはコードボックスに収めるなどして、見た目と安全性の両立を意識すると良いでしょう。

さらに、延長コードにはサージ保護や過熱防止機能付きのものも市販されており、そうした機能を備えた製品を選ぶことで、より安心して長期間使用することが可能になります。適切な製品選びと正しい使用方法を守ることが、安全で快適なキッチンライフを支える大切な要素となります。

コンセント交換を自分でやる方法はある？

コンセントの位置を変更したり、古くなったコンセントを新しいものに交換したりすることは、自宅の使い勝手を向上させる手段として考えられるかもしれません。しかし、これらの作業は日本の電気工事士法により、原則として電気工事士の資格を持つ者しか行ってはならないと定められています。

たとえば、キッチンカウンターの位置に合わせてコンセントを移設すれば、炊飯器や電子レンジなどの家電がより便利に使えるようになりますが、このような電気配線の変更は、資格者である電気工事士が行わなければなりません。無資格での工事は法律違反であるだけでなく、感電、火災、漏電といった重大なリスクを伴います。

もしコンセントの交換や移設を検討している場合は、まずは有資格者に相談することをおすすめします。資格のない方が安易に配線をいじることは避け、安全を最優先に考えるべきです。プロに依頼することで、法令遵守はもちろん、仕上がりの美しさや機能性の面でも高い水準が期待できます。

電子レンジ対応の電源対策

電子レンジは消費電力が非常に大きく、一般的な家庭用電化製品の中でも特に高出力を必要とする家電の一つです。そのため、コンセントの位置や配線状況が適切でない場合、ブレーカーが頻繁に落ちてしまうといったトラブルが起こることがあります。特に築年数が古い住宅やコンセントが他の家電と共有されている場合には、電力が分散されずに集中し、ブレーカーの容量を超えてしまうリスクが高まります。

そのため電子レンジを設置する前には、専用回路の有無を必ず確認することが重要です。専用回路とは、特定の家電にのみ電力を供給するために設けられた配線のことで、これにより安全性と安定した動作が確保されます。もし現在の配線に専用回路がない場合は、電気工事士に相談のうえ、必要に応じて回路の増設を検討することが賢明です。これにより、他の家電と同時に使用しても電力不足にならず、安心して利用することができます。

また延長コードを使って電子レンジを接続する場合は、特に注意が必要です。延長コードは手軽に使える反面、使用する製品によっては電力負荷に耐えられないことがあり、過熱や火災などのリスクが高まります。必ず定格容量を十分に満たしている製品を選び、発熱防止機能や過電流防止機能が付いたタイプを選ぶとより安全です。コードの長さが必要以上に長い場合も、電圧降下の原因となるため、できるだけ短く、太めのコードを使用することが推奨されます。

このように、電子レンジのような高出力の家電を使用するには、事前の環境確認と適切な電源対策が欠かせません。正しい知識と準備によって、安心して快適なキッチンライフを送ることができるでしょう。

食器棚でコンセントが隠れる問題の総まとめ

最後に記事のポイントをまとめます。